当初、NTR物と思っていた当シリーズ、最後にどんでん返しがありました。元カノは夫から楓を奪うのではなく、夫に本性を曝けだした楓を与え、妻を悦ばせるSの技術を伝授し、夫婦の絆をより強化させ、自分は海外留学のため去って行くのでした。
自他共にドSと思っていた楓は元カノによって、纏っていたドSという鎧を引き剥がされ、自分でも知らなかったドMの本性を暴かれ、アナルを開発され、肉奴隷に改造されました。肉欲に溺れる自分が怖くなって、楓は卒業を期に、彼女と別れます。
再会当初、彼女は夫から楓を寝取るつもりだったと思います。でも、夫に興味を抱いたせいで変化が起こります。彼女は楓がM男を嫌い、言い寄ってくるM男を悉く撃退していたのを知っています。それなのに、なぜ楓はMっぽくみえる夫を伴侶として受け入れたのか。その理由を知りたい。そして、シリーズ11で浮気の練習と称するデートにまでこぎ着けます。
元カノは調教時を別にすると、他人と話す時、非常に丁寧な敬体で喋ります。敬体は彼女の心の鎧なのかもしれません。ところが浮気の練習中、一瞬、言葉遣いが乱れます。「はぁ、ヤバい。今、ニヤけそうに」と。無意識に鎧を脱いじゃったんです。その後、すぐに敬体に戻しますが、彼女は妙にはしゃいでデートを楽しんでいます。彼女の興味の対象が楓から夫に完全に移行しました。
楓と元カノは相似体です。ただ、かつての楓が自分の本性を隠す心の鎧を無自覚のうちに纏っていたのと違って、今の元カノはそれを自覚して装着しています。彼女は精神的なものはともかく、自分の肉体的快楽を全く求めません。まるで肉欲に溺れてしまうのを畏れるように。キスは別にして、楓にもペッティングやクンニをさせません。留学先から一時帰国した元カノは、喫茶店で会った夫に問います。わたしは変われる(鎧を脱げる)かと。後日譚が楽しみですね。

シリーズ12から14で元カノさんにズタボロに調教されたけどどこか夫にだけは上からだった妻。今回も調教中の顔は元カノ以外に見せたくないと駄々をこねるがやはり後ろめたいところがあるからなのか3Pを了承。
その後は旦那と元カノの責めにぐしゃぐしゃになりながらも素直な妻の声を聞くことができます。
13での少し調子に乗ったような、受けた調教を得意気に語る妻の姿は今回の前フリだったんだなとすっきりしました。正直、13での妻はわがままなところが出て夫側としてはイラッとするところがありました。また、14でも夫の言い分を押さえつけながらもどちらの意見も通し切らず中途半端な行動をしたり、調教中とはいえ夫に対してはじめまして、などと言ったりとヘイト溜めのような言動が目立っていました。
ところで夫は8の頃から食べる側のキスをしてみたかったり金髪・ギャルの妻を見てみたかったり無理矢理北海道まで調教に行かせようとしたりと妻への支配欲が見えていたわけですが今回でやっと妻への調教が叶うことに。元カノに抱かせていたのは一種の代替行為なわけですね。妻も苦しみながらもおとなしく夫からの調教を受け入れます。ただの寝取り返しではなくすべて元カノのおかげじゃないか、という感じです。
収まるべきところに収まる、寝取られものだったのになんだかんだハッピーエンドなのだと思いました。M側のプライドなどが邪魔して素直になれない、けど苦しくても無理矢理素直にさせられる、素直になれば思いがけずすっきりする、というような独特な調教される側の心理がリアルでとても良いと思いました。

何を期待して聴くのかによりますが、いつもどおり設定というか前振りというかそういうのがたっぷりです。妻元カノは理論的ですが、妻も理屈っぽい感じがしました。
調教は、技術伝授にはもっとも有効な方法にも思えましたが、受け手が明らかにSの場合は難しいのではないでしょうか。その点、旦那様は受け手として素質があるのではと思いました。