TVアニメ「レヱル・ロマネスク」連動音声作品
https://railromanesque.jp/

第5弾は「内田彩」さん演じる、ラン!

大廃線により鉄路のほとんどが失われてしまった国――日ノ本。
それでも各地に、大廃線に抗い続ける鉄道事業者はぽつぽつと点在している。
そうした鉄道各社・各路線の沿線の魅力を、音という切り口から紹介しようという企画、「蓄音レヱル」が、とある大新聞社の主催によって立ち上げられた。
音を探し出して紹介する大役を担うことになるのは、普段はその路線を走る列車の運転制御をサポートしている人形/人形型のモジュール、“レイルロオド”たち。

旧帝鉄の本線の一部を第3セクター方式で残存させた、高嵜(たかさき)-横河(よこかわ)をつなぐ路線――高嵜鉄道横河線の誇る1大スタア、D51 840専用レイルロオドのランにも、当然のように蓄音レヱルへの参加依頼が届けられた。

「ランが一番美しく輝く瞬間を見つけだしてくれるのはマイロード、いつだってキミさ。
だから一番美しく響く音も、キミと一緒ならきっと見つけ出せるさ」

日ノ本の全レイルロオドの中でも屈指の人気を誇り、望まれるがまま常にスターとして振る舞い。
けれども業務を離れば、素朴で純情可憐なランは、マイロード……マスターであるあなたに従い、音探しの小さな旅へと歩みだします。

迷い込んでしまった山道に分厚く重なる落ち葉を踏み分け進む音。野鳥の森の鳥たちの声。
偶然みつけた滝の音。散策に疲れたあなたを癒やすため立ち寄った小さな食堂で、おっきりこみが作られる音――

ランとふたりで、手探りしながら探し出し、あるいは見つける音たちは、
きっとあなたの鼓膜を、こころをやすらげて、心地よく揺すってくれるでしょう。

素朴で真面目な大スタア、ランとのささやかな音探しの旅。
どうぞ、そのお耳を澄ませてゆったりとお楽しみください。

「……音探しをしていたせいかな。
座敷の向こう、お料理をつくってくれている音も、ここちよいものと感じるよ。
マイロード。貴方のために、誰かがこころをこめてくれてる……
その音だもの、ランにも、とても幸せに響く」

旧帝鉄の本線の一部を切り取る形で設立された第三セクター。高嵜-横河間をつなぐ高嵜鉄道。
ごく平凡な地方路線に、ごくごく平凡な量産機として走るD51 840のレイルロオド、ランは、しかし非凡な――超絶美形と称される容姿の持ち主でした。

女性形レイルロオドでありながら、ハンサムとしか形容できないその外観と言動に、いつか人々が与えた二つ名は“プリンス・オブ・レイルロオド”。ランはその二つ名に、期待に添うよう、いつでも凛と優美に振る舞い続けます。けれどもいったん職務を離れたのなら、ランはどちからというと不器用な部類にはいる、素朴にして純情可憐なレイルロオドです。

他のレイルロオドたち以上に、ロールアウトのその瞬間から仕事仕事で働き続け、遊びのひとつも覚えることができていないランのささやかな愉しみは3つだけ。

業務を通じて学ぶうち、趣味としても楽しむようになったアマチュア無線と、電子工作と――
そうして、常に背中を預け続けている、マスターにしてマネージャーにしてプロデューサー、絶対的に信頼できるパートナーである「マイロード」……あなたとの時間をすごすことです。

そんな貴重なあなたとの時間の一部に食い込まざるを得ない音探しの依頼――蓄音レヱルの取材依頼にも、ランはイヤな顔ひとつせず、真摯に丁寧に取り組みます。

あなたとならば、最高に素敵な音をきっと見つけ出すことができる、そう強く信じつつ。
不器用で純朴な大スタア、D51 840――デゴイチハシレのランとともに、一生懸命に音を探し出す小さな旅を……どうぞ、包み込むようにお楽しみいただけましたら幸いです。

『蓄音レヱル』では、環境音の現地フィールドレコーディングにこだわり、
よく録れた音を最大限活かす形――いわば"音先”――でのシナリオ・作品制作を行っております。

■録音地
今作の録音地はいわゆる『碓氷峠』――群馬県安中市松井田町横川近辺となります。
横川は観光地でもあり、交通量も少なくはない土地のため、早朝、日がまだ登りきらない時間からのフィールドレコーディングを行いました。
鎖場を超え、ロープをつたう、軽く登山な道中を経て録音してきた自然の音達を、どうぞごゆるりとご堪能いただけましたら幸いです。

■耳かき
乗客たちの前ではスタアとしての振る舞いを徹底し、けれどもマスターであるあなた――マイロードとふたりきりのときには、乙女な横顔もちらほらと見せてくれるラン。
そのランのかわいらしさを、内田彩さんは、耳を抑えて離すシーンでの、『ぎゅ～～っ。ぱ』というアドリブで鮮やかに表現してくださいました。
いただいたすべてを最大限に引き立てていくべく逆算し、息遣いにあわせた耳かきは、スタアであるランと一転した少女らしくやわらかな印象のものに仕上がりました。

■ASMR　
まだ日が登る気配もない闇の中、深く積重なった落ち葉を踏み分け進む足音はひときわ印象的に響きましたので、それをASMRとしてもお楽しみいただけるよう調整しました。、
野鳥の音は会話を邪魔しない方向に――滝の音はその力強さを活かしてASMR要素をもらせるようにと、録音してきた音それぞれの特性をいかし、
今作では特に「ボイスも含めてのASMR」としての調和をより強く意識しております。お楽しみください。


――全ての音に関しまして、フィールドレコーディングとフォーリーサウンドを組み合わせ、より自然で快適にお楽しみいただけるよう工夫を凝らしておりますので、ぜひお耳を傾けてみてください。